「侑士・・・昨日隣のクラスの子と歩いてたって聞いたんだけど。」





   あ・・・アカン、またバレてもうた。

   こないだ2年の・・・?(誰やったかな)とのことバレたばっかなんに。チクったん誰やねんホンマ!!





   「あー・・・ゴメンて〜浮気やさかい堪忍してや。なっ・・・?」


   「・・・。」


   「浮気やって!本気やないで!!愛しとるんはだけや。自分かて分かっとるやろ?」


   「・・・。」





   こらホンマにアカンわ。アカン。アカン。アカン。が本気で怒っとるがな!!

   俺の大好きなが怒ってもうたでぇぇぇぇ(叫)!!!















   
beloved you (10.行き場を失った想いを抱えて)















   朝からが彼氏の俺に口きいてくれへん。



   理由は、昨日隣のクラスの・・・?(これまた忘れた)と、ちょっと・・・

   そや、チョット遊んだったとこを人に見られての耳に入ってもうたからや。



   誘いを断るなんて無粋なこと出来ひんし、彼女おるん知っとって誘ってくる方もくる方や!

   いや、言い訳はアカンな・・・浮気は男の甲斐性やでぇぇぇぇ!!!



   とは言ってものあの様子・・・はぁ。。アカン。。



   しかもさっきから俺とが別れたとかいう噂が広がって、仰山女の子達が近付いてきよった。

   この状況はオイシイ♪・・・やない、最悪や。

   が見たら更に怒りのボルテージ上がってまうやんけ!



   「別れて」とか言われたら俺ホンマにヘコんでまうわ。。早いとこの機嫌直さなな。

   あれ?そういえばどこ行ったんやろ。姿見いひんなー。







   「なぁ跡部、見てへんか?」


   「あーん?お前の女?俺様が知るかよ。テメェの女の管理くらいテメェでしろよ。」


   「そら忠告どうも。」





   そういや跡部って彼女いてへんなー。

   あれだけ毎日毎日手紙やらプレゼントやら貰うとんのに、御眼鏡に適う子はおらへんのか。



   プライドが富士山並み(いやエベレストか)の跡部のことや、そないなレベルの女の子やアカンのやろな。

   俺やったら大歓迎やで〜・・・アカン、に怒られる。。

   そや、や!ホンマにどこ行ったんやろ。



   もしかして・・・







   ほら、当たりや。ここは俺との原点やもんな。



   1年前、当時モテモテでピチピチやった俺に、これまた学年一可愛いが告ってくれたんや。

   ホンマ嬉しくて嬉しくて、思わずキスしてもうて真っ赤になって怒ってて・・・それがまた、たまらん可愛くてな。







   「。探したで。」


   「・・・。」


   「俺が悪かったて。なっ・・・?もう浮気せぇへんから許して・・・なっ?」


   「・・・。」


   「?」





   振り払われるの覚悟で、恐る恐る肩を抱いてみた。お願いやから機嫌直してや。

   妙に緊張して力が入り震えてまう。・・・違う。



   ―――振るえとるんはの方やん。



   嫌がるの手を振り解き、俯くの顔を覘き込んだ。



   ―――え・・・、泣いとるやんけ。





   「、ホンマごめんて。泣かんとって。ごめんて。ホンマに俺が悪かった。」





   の体を抱きしめて何度も何度も謝った。

   初めて見たの涙が、なんだかとても悲しくて、俺は俺が今までしてきた事の重大さにやっと気が付いたんや。



   大好きなをこんなにも苦しめとったなんて思わへんかった。

   今までずっと独りで苦しんどったハズなんに、気付いてやれんかった。



   俺、最悪や・・・。



   は俺の腕の中で、振るえながら泣き続けた。

   俺はにかける言葉が見つからなくて、ただ抱きしめるだけ。ホンマ情けない。







   「・・・侑士。」


   「・・・ん。」


   「今までずっと我慢してこれたのに・・・限界きちゃったみたい。」





   涙いっぱい溜めた目で、無理に笑わんでもええやん。

   もっと俺を責めたらええがな。



   悪いんは俺や。





   「・・・侑士。」


   「・・・ん。」


   「この場所覚えてる?」


   「・・・が俺に告った・・・場所やな。」


   「そうだね。もう1年・・・だね。」


   「・・・せやな。」





   いつも変わらずは俺だけを見てくれてたんに、それをいい事に俺はあっちこっち遊び回っては浮名を流した。

   もちろん本当に好きなんはだけや。



   そう、これからもずっとが何より大切や。







   「なぁ・・・。」


   「ん?」


   「別れてくれへんか?」


   「え・・・」


   「俺はをずっと傷付けて来た。・・・彼氏失格や。」


   「ちょ・・ちょっと!待ってよ侑士・・そんなの」


   「でな!・・・もう一つお願いあんねん。」


   「・・・。」







   「・・・俺と付き合って下さい!」





   「・・・。」







   は何も言わへんかったけど、代わりにキスをしてくれた。



   俺とだけの合図。

   1年前がくれた言葉を、俺がに贈る。





   ―――この場所で新しい2人が始まる。







                 -Fin-









*あとがき*

軽いノリの忍足が書きたくて、こんなことになりました。
遊び人です・・・はい。。
忍足ファンの方御免なさいです。
(07.07.06)
photo by 空色地図